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千葉大学 脳神経外科|千葉大学大学院医学研究院 脳神経外科学

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脳深部刺激療法(DBS)

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パーキンソン病に対する脳深部刺激療法(DBS)

千葉大学医学部附属病院 脳神経外科
樋口 佳則

パーキンソン病に対する脳深部刺激療法ミニレクチャー

1.脳深部刺激療法

 脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation、 DBS)は脳の特定の部位に電極を挿入し,持続的に刺激することにより神経症状を緩和,改善させる治療法です。これまで,世界で8万人以上のパーキンソン病患者様が脳深部刺激療法を受けられ,高い評価を受けています。日本では10年ほど前より保険適応となり,これまでに5500人以上の方に治療が行われ,良好な治療成績がおさめられています。

脳深部刺激療法

 千葉大学病院では、脳神経外科・神経内科・リハビリテーション科が合同で治療にあたる体制をとっており、より安全に効果的な治療を行えるよう努めています。手術を行っている千葉県循環器病センターは、機能的定位脳手術技術認定施設に認定されています。技術認定施設とは、日本定位・機能神経外科学会が一定の症例数を経験した施設として認定した施設で、2011年現在、全国で29施設が認定を受けています。2011年より、千葉大学病院での手術も可能となりました。

 脳深部刺激療法は、以前の脳の一部を凝固する破壊術と比較し、侵襲性が少なく、刺激の条件を調節、またある程度選択的に抑制が可能な治療法です。パーキンソン病の脳深部刺激療法で、刺激する部分は視床下核、淡蒼球内節、視床がありますが、もっとも重い症状により適切な部位が選択されます。多くの患者様は視床下核の刺激が選択されます。

 

2.パーキンソン病の症状の経過

 パーキンソン病治療の第一は薬物療法ですが、長期間の経過の中で薬物療法での症状がコントロールの困難となる方がいらっしゃいます。このような方の中で、脳深部刺激療法が症状の改善に有用な方がいます。
 パーキンソン病の症状は、L-ドーパ(ECドパール、メネシット、ネオドパストンなど)やドーパミン作動性薬剤(カバサール、ペルマックス、ビシフロール、レキップなど)により改善されますが、長期間の治療の後に薬効に変化を来す方がいます。薬効時間が短縮し、服用後数時間の経過の後に薬の効果が消退する現象が出現します(ウエアリングオフ現象)。
 抗パーキンソン病薬の服用に伴って生じる不随意運動をジスキネジアといい、運動症状の日内変動とともに運動合併症のひとつとして知られています。
 

パーキンソン病の薬物療法による運動症状の変化

パーキンソン病の症状の経過

 このような、運動症状の日内変動がひどくなった場合や薬剤による運動合併症が生じた場合には、薬物治療の調節を行い、最適な服薬条件を検討します。

 

 

3.脳深部刺激療法を受けられる方

 以上のような、症状の著しい変動や運動合併症が生じ、服薬の調節を行っても改善しない場合には、脳深部刺激療法という外科的治療が有効なことがあります。
 パーキンソン病に対する脳神経外科手術療法の適応に関し、厚生労働省から以下のような適応基準が出されています。

 

パーキンソン病に対する脳外科的手術療法の適応基準(抜粋)

 

○L-ドーパに対する効果がある。
○薬物療法が十分に行われている。
○日常生活を困難にする程度のパーキンソン病による運動障害、薬物療法による運動合併症。
○知能が正常である。
○著しい精神症状がない。
○著明な脳萎縮がない。


前述のような条件を満たす患者様で、

①運動症状の日内変動が非常に大きい方
②薬物誘発性の不随意運動のため薬物療法に制限のある方
③薬物誘発性ジスキネジア以外の副作用のため薬物療法に制限のある方

が脳深部刺激療法による症状の改善を期待できるといわれています。

しかし、次のような方には、手術が困難なことがあります。

①重篤な全身合併症(未治療の高血圧、糖尿病など)
②血液を固めにくくする薬(抗血小板剤、抗凝固剤)を服用されている方
③著しい精神症状・認知障害がある方
④以前に脳の大きな手術を受けられている方
⑤全身麻酔に耐えられない全身状態

 

 

4.脳深部刺激療法の効果

 脳深部刺激療法(視床下核刺激療法)は以下のような効果が期待できます。手術の効果は基本的には運動症状をよくすることが第一の目標です。

①症状の軽減

オン時間の増加
抗パーキンソン病薬の薬効時間が長くなり、良い状態が長くなります。
オフ時の運動症状の改善
オフの状態での固縮・寡動などの症状の改善が期待できます。また、歩行・姿勢・姿勢安定性、すくみ歩行などに対する効果が報告されています。
 以上をまとめると、症状の一番悪い状態が軽くなるという底上げ効果が期待できます。

②ドーパミンの必要量の減少

 抗パーキンソン病薬の減量効果には個人差がありますが、30~50%の薬が減量可能といわれています。
 しかし、以下の図に示しますように、抗パーキンソン病薬を服用してもっとも良い状態となったときより、症状が改善することは期待できません。

脳深部刺激療法後のパーキンソン病の症状の変化

5.手術の合併症

 脳深部刺激療法は頭蓋内に電極を埋め込む手術と刺激装置を胸部に埋め込む手術を行いますので、以下のような手術による合併症を伴う場合があります。
○脳内出血
○感染・電極、刺激装置の破損
○刺激・服薬の調節に伴う症状の変動

 

6.脳深部刺激装置埋め込み後の日常生活の注意事項

 刺激装置は「超小型精密コンピューター」のようなものです。外部からの強力な電気や磁気により影響を受けます。電磁調理器や大型ステレオスピーカーなどの電気製品には使用しないもしくは近づかないといった注意が必要です。しかし、万が一刺激装置のスイッチが切れてしまっても、ご自身もしくはご家族で、刺激装置のスイッチの入・切の確認とスイッチを入れることが可能です。確認装置(アクセスレヴュー)の使用方法は簡単なものですので、使い方を覚えていただき、退院時までにお渡ししています。

 

7.治療の経過

術前評価
 脳神経外科・神経内科・リハビリテーション科・精神科により、外来もしくは入院で診察させていただき、現在の症状の評価、治療の効果を予測して、それぞれの患者様にとってもっとも適した治療法を検討させていただきます。

手術
 手術は、千葉大学医学部附属病院もしくは千葉県循環器病センターで行います。手術を行うことが決定した場合、手術日の前週に入院して頂き準備をします。手術は①電極埋め込み(局所麻酔)②刺激装置埋め込み(全身麻酔)を行います。
 入院期間は手術と術後調節を含め2~3週間ほどを見て頂きます。患者様の状態により前後します。
 術後は、刺激条件を調節し、同時に抗パーキンソン病薬の調節を行います。この間、症状が変動する時期があります。最終的な調整は、外来通院にて行います。 安定するまでに3~6ヶ月程度必要です。
 刺激装置の電池の寿命は3~5年です。刺激条件により電池の寿命は変化します。電池がなくなった場合には、胸部の刺激装置の部分のみを交換するための局所麻酔の手術が必要です。

 

8.手術のために実際にお支払いいただく入院費

 特定疾患医療受給者票をお持ちの方は、公費負担の対象となりますので、一部の自己負担を入院費としてお支払いいただきます。

 

9.最後に

最後に

 手術により得られる効果が、手術のリスクよりも大きいと判断される場合、私たちは手術をおすすめしています。
 脳深部刺激療法は、現在のオフ期の症状を改善し、1日の内で動けるときと動けないときの差をできる限り少なくすること、不随意運動を軽減するための治療です。術後もお薬での治療を継続することが必要で、薬物治療と二人三脚での治療を行っていきます。つまり、主治医の神経内科の先生と共同で治療を行っていきます。

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