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千葉大学 脳神経外科|千葉大学大学院医学研究院 脳神経外科学

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下垂体部腫瘍

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内視鏡下経鼻 頭蓋底・下垂体手術 - 内視鏡を使った鼻孔経由・腫瘍摘出術 ー


千葉大学医学部附属病院  脳神経外科 堀口 健太郎
 

上段:海綿静脈洞部三叉神経鞘腫術前
下段:内視鏡下経鼻頭蓋底手術後  

間脳・下垂体部腫瘍の診断・治療は脳神経や内分泌とも密接な関わりがあり、脳神経外科の中でも非常に専門性が高い領域です。その中でも最近のトピックスを中心に以下に述べたいと思います。

内視鏡の登場で、脳腫瘍の手術は、時間がかかる大手術という今までのイメージが変わりました。
従来、下垂体部の腫瘍を摘出するには顕微鏡を使い、唇の裏側を切開して行われてきました。

しかし、現在は内視鏡を使い鼻孔を経由して下垂体部の腫瘍を摘出しています。また、従来は開頭手術で摘出していた一部の脳腫瘍に対してもこの方法により、脳に触らず、より安全にそして患者さんの負担が少なく腫瘍が取れるようになりました。

また、平成28年度の診療報酬改定により、内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術 頭蓋底 の項目が追加され、今大きく注目されている手術法です。

千葉大学ではこの内視鏡下経鼻頭蓋底・下垂体手術を本邦でもいち早く導入し、豊富な経験を有しております。

    
 

下垂体腺腫について

正常下垂体は10mm前後の楕円形で、脳中心部の底面より垂れ下がり、眼や鼻の奥とは薄い骨で境されます。下垂体の数mm上方や横側を、脳を被う薄い膜を境として目の見え方や動きに関係した脳神経と頸動脈が走ります。

下垂体は全身のホルモンを調節する重要な役割を果たしています。下垂体腺腫が出来ると、周囲の圧迫による視野障害やホルモン分泌低下症状(不妊、性機能低下、行動意欲減退、易疲労性、脱毛、皮膚乾燥など)や、逆に腺腫が過剰にホルモンを産生し、分泌過剰症状をきたします。また、分泌過剰のホルモンにより出現する症状が違ってきます。

例えば、
 ・成長ホルモン: 先端巨大症(手足容積の増大、先端巨大症様顔貌、巨大舌など)
 ・副腎皮質刺激ホルモン: クッシング病(満月様顔貌、中心性肥満、高血圧、糖尿病など)
 ・甲状腺刺激ホルモン: 動悸、発汗、不整脈など
 ・プロラクチン: 生理不順、乳汁分泌

詳しくは以下のサイトもご参照ください。

間脳下垂体腫瘍学会 診断・治療の手引き  http://square.umin.ac.jp/kasuitai/sick02.html


下垂体腺腫は脳腫瘍の中でも発生頻度が高く、その15~20%を占めます。腺腫が発生し、通常20mm以上の大きさに達すると周囲組織を直接圧迫しだすため、腺腫摘出の際、合併症が生じるリスクが高くなります。そのリスクを減らすには、直接観察出来る(直視下)部分の腺腫摘出に徹することが原則です。内視鏡の登場により、この直視下部分の腺腫摘出が可能となり、摘出の成績も大幅に向上しています。

        

 

 

他の傍鞍部腫瘍について


 

下垂体があるトルコ鞍と呼ばれる部位の近くには、頭蓋咽頭腫、ラトケのう胞、脊索腫、髄膜腫、神経鞘腫などの腫瘍も発生します。手術難易度に差はありますが、基本的に同じ鼻腔経由で手術します。

当科で2014年以降の3年間に行われた内視鏡下経鼻手術 190手術例の中、4割弱の70例が下垂体腺腫以外の症例でした。この割合は年々増加傾向にあり、従来は開頭手術でしか対応できなかった疾患に対しても徐々に適応が拡大しております。

下垂体腺腫以外の上記のような症例における内視鏡下経鼻頭蓋底手術では確実な髄液漏閉鎖の技術がなければ、手術はできません。当科ではこの閉鎖法に改良を加え、2014年以降は髄液漏の発生は認めておりません。

また、当院では腫瘍摘出においても最新のハイビジョン内視鏡システム、磁場式ナビゲーション、内視鏡手術に必須な細径の手術器具が揃っており、安全で確実な手術が可能となっております。

 

より安全に より低浸襲に - 神経内視鏡手術 -

従来、顕微鏡を使って鼻経由で下垂体腺腫を摘出する工夫が成されていました。顕微鏡手術では、光源が約30cmと離れたところにあり、また直線的にしか照らすことができないため、手術操作野も狭く限られてしまいます。大きい下垂体腺腫を顕微鏡で摘出する際、上方に進展した直視下に入らない部分は取り残し、後日2回目の摘出術を行ったり、あるいは、上方に伸びた部分に対して、鼻経由でなく、最初から頭の骨をはずし脳を持ち上げて腺腫を摘出していました。

内視鏡には直径3~4mmの細い金属棒の先端に光源と鏡がついています。手術操作部位から数cmのところで照らすため、明るく扇形に広がった照明効果が得られます。さらに種々の角度を付けた鏡を使用することで、直線方向だけでなく、ほぼ直角方向も観察可能です。内視鏡手術は、顕微鏡では観察しずらい部分の直視下手術を可能にしました。

通常行われる、傷口を上唇の裏側に作る方法では、術後、上口唇の腫脹・疼痛などを伴います。しかし、内視鏡手術では両側の鼻の小さな傷口から入ります。術後、口唇の腫れもなく、息苦しさは軽く、術後の回復も早いため、患者さんの負担を減らすことが可能になりました。内視鏡手術の登場で、患者さんの負担を減らし、より安全に根治性の高い手術が可能になりました。

一方で、内視鏡手術は、腺腫摘出操作に使える広さが顕微鏡に比べて狭く、立体視しづらい傾向があります。これらのデメリットを克服するには、手術機器の工夫・準備と術者の熟練が要求されます。従って、どの脳神経外科施設でも簡単に行いうる手術法ではありません。本法は熟練した専門医かその指導のもとに行われるべき手術法です。

患者さんの立場からは、下垂体腺腫による症状と治療前後の管理は、耳鼻咽喉科、内分泌、眼科、放射線治療など全身臓器に関連しているだけに、全科のそろった大学病院や総合病院の下垂体部腫瘍手術に熟練した医師を選択する事が大切です。

 

 

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