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千葉大学 脳神経外科|千葉大学大学院医学研究院 脳神経外科学

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くも膜下出血

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君津中央病院 脳神経外科

早坂 典洋

 

 

くも膜下出血とは?

くも膜とは、脳を保護する膜(3層あり、外側より硬膜、くも膜、軟膜と呼ぶ)の一つです。くも膜と軟膜のすき間はくも膜下腔と呼ばれており、このくも膜下腔に出血を起こした状態がくも膜下出血です。

原因としては脳動脈の一部が風船のように膨らんでできた動脈瘤(どうみゃくりゅう)の破裂によるものが大部分です。その他、血管奇形や外傷などもくも膜下 出血の原因となりえますが上記の動脈瘤とは治療方針が少し違ってきます。ここでは、“非外傷性”とくに破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血について説明しま す。男性より女性に多く、40歳以降に多くみられ、年齢とともに増加します。家系内に動脈瘤やくも膜下出血の方がいるときは発生頻度が高く、また高血圧、 喫煙、過度の飲酒は動脈瘤破裂の可能性を数倍高くするという報告もあります。

死亡率が高く、手術により救命できても後遺症を残す場合もあり、たいへん恐ろしい病気といえます。

 

くも膜下出血の症状

脳動脈瘤が破裂した際の典型的な症状として、いわゆる「これまでに経験したことがないような激しい頭痛」があります。他にも破裂脳動脈瘤の症状として以下のような症状がみられます。

  • 吐き気と嘔吐
  • 頸部のこわばりや痛み
  • 目のかすみや複視
  • 目の上や目の奥の痛み
  • 瞳孔の散大
  • 光に対して過敏になること
  • 感覚の消失
  • 意識の消失

出血量が少ないと軽い頭痛のみで上記のような典型的な症状がなく、“風邪”と思い込んで様子をみてしまう方も中にはいらっしゃいます。1回目の発作 は軽くても、24時間以内に再び破れることが多く、再破裂により死亡率がさらに高くなるため、救急車などですぐに病院を受診することが重要です。

 

くも膜下出血の診断

意識や症状のほか、最も診断に役立つのは断層写真CTです。断層写真でくも膜下出血を認めた場合、引き続き出血源の確認のために脳血管撮影やMRA、3D-CTAなどが行われます。

断層写真での診断が困難な例では、背中から細い針を刺す腰椎穿刺により血性髄液を確認することにより診断することも可能です。

くも膜下出血の診断

 

治療方法

くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂が原因のことが多いので、ここでは破裂脳動脈瘤に対する治療について述べます。
破裂した脳動脈瘤を放置しておくとまず間違いなく再出血します。そのため再破裂、再出血予防の処置が必要となります。
脳動脈瘤の治療では、開頭手術(クリッピング術)または低侵襲の血管内治療(コイル塞栓術)が用いられています。しかしながら、診断された動脈瘤がすべて 治療されるわけではありませんし、両者の治療方法ですべてを治療できるわけではありません。また昏睡状態やきわめて全身状態の悪いときには残念ながら手術 治療のできない場合もあります。

 

開頭手術 クリッピング術

動脈瘤に到達するために、外科医師はまず開頭術によって頭蓋骨の一部を取り除きます。そして、脳組織を剥離し、脳動脈瘤のできた血管を確認し、脳動脈瘤の 頸部(脳動脈瘤と正常な血管の境)を小さな金属製のクリップで閉鎖し、血液が脳動脈瘤に流れ込むことを防ぎます。その後、頭蓋骨を元通りにして皮膚を縫合 します。

開頭手術クリッピング術

 

血管内治療 コイル塞栓術

血管内治療は血管の内腔から治療部位に到着するため、体にとって侵襲の少ない治療方法です。脳動脈瘤の場合、コイル塞栓術と呼ばれる血管内治療が実施され ます。外科手術とは異なり、コイル塞栓術は開頭術を必要としません。直接に脳血管・脳動脈瘤を見て治療をする代わりに、リアルタイムのX線透視画像下に血 管を視覚化し、血管の内腔から脳動脈瘤を治療します。
太ももの付け根の血管から治療用の細い管(カテーテル)を動脈瘤の中まで誘導して、その中を細くやわらかいプラチナ製のコイルを通して、動脈瘤を内側からつめてしまう治療です。
詳細は未破裂脳動脈瘤の項目で述べていますので参照してください。

血管内治療 コイル塞栓術

 

破裂動脈瘤治療の最近の話題(開頭手術か血管内手術か)

2002年10月、Lancet誌に破裂脳動脈瘤治療の比較試験(ISAT)の結果が報告されました。最近は離脱型コイルを用いた血管内治療(コイ リング)が破裂脳動脈瘤の治療に用いられる機会が増加しています。しかし、開頭術、血管内手術の相対的利得については十分明らかでありませんでした。両者 の安全性と有効性を比較するため、どちらの治療法も適当と判断された破裂脳動脈瘤患者さんについて多施設ランダム化比較試験を行った結果の報告です。その 解釈は

治療の選択肢として血管内治療(コイリング)および開頭手術(クリッピング)いずれも適応と考えられる破裂脳動脈瘤患者においては、「血管 内治療割り付け群」の方が1年後の機能障害回避の面で有意に優れていた。現在までのデータでは「血管内治療割り付け群」で再出血の頻度がやや高い傾向にあ るものの、いずれの治療法でも長期的予防効果があるといえる。

というものでした。実際は、血管内治療では対処できない動脈瘤や血管内治療による成績が開頭手術に比べて明らかに不良な動脈瘤も多くあります。ただ し、血管内治療は再出血予防効果が開頭手術に劣ることも示唆されていますので、長期的再出血予防効果の検討が必要です。また、さらに再出血予防効果の高い 塞栓物質の出現も期待されます。「血管内治療」の長所はうまく治療できたときの低侵襲性にあります。血管内治療が開頭手術と同等かそれ以上の成績を得るた めには適切な症例の選択が、まず重要といえます。

 

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